学会紹介会長挨拶

~国際歯科研究学会日本部会(JADR)会長を拝命して~

森山 啓司
(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 顎顔面頸部機能再建学講座 顎顔面矯正学分野)

会長 森山 啓司この度、国際歯学研究学会日本部会(Japanese Division, International Association for Dental Research; JADR)第 35 代会長(2023年―2024年)に就任いたしました。私は,東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 顎顔面頸部機能再建学講座 顎顔面矯正学分野に所属し,歯科矯正学的立場から,主に顎顔面領域の先天異常や顎変形症の研究に取り組んでおります。中村誠司 前会長(2021年―2022年,九州大学)の後任としてこの重責を担うこととなり,身の引き締まる思いがしております。副会長の林 美加 子先生(大阪大学),会計理事の江草 宏先生(東北大学)をはじめ,関係各位のご協力を賜りながら,本学会のさらなる発展に努めて参りたいと思いますので,どうぞよろしくお願い申し上げます。

JADR の沿革を顧みますと,創立は昭和 29 年(1954 年) 11 月 6 日,東京医科歯科大学において高橋新次郎初代会長(東京医科歯科大学歯科矯正学講座教授)のもとでIADR日本部会の結成式が挙行されたことに遡ります。当時の会員数はわずか 16 名だったようですが,高邁かつ堅固な志を持った多くの研究者が所属機関や専門分野の垣根を越えて集い,世界の歯学研究者とのネットワークを構築しながら,学会の発展に尽力してこられました。そして,1980 年には第 58 回 IADR 総会(河村洋二郎 大会長 ; 大阪ロイヤルホテル)が,また2001年には第79回IADR総会(黒田敬之 大会長 ; 幕張メ ッセ)がそれぞれ開催され,我が国の歯学研究の歴史に大きなマイルストンが刻まれました。諸先輩が築いてこられたこのような有形無形の財産は,今でも本学会の大きな支柱となっております。

一方,JADR の会員数は 2000 年に 2,122 名に達したものの, その後は減少傾向が続き,新型コロナウィルスの影響もあって直近の2022年は763 名と低迷しております。以前はIADR Hatton Award CompetitionにJADRから5名の候補者を送り込んでいましたが,会員数に応じて指定される推薦枠は現在 3 名に減少しています。今後もこの状況が続けば,若手研究者の士気に影響を生じかねないと懸念しているところです。 JADRとしましては,新たな時代にマッチした学会のあり方を 模索しながら,会員数の増加に向けて取り組んでいく必要があると感じています。本件につきまして,是非皆様からご意見やアイデアをお聞かせいただけると幸いです。何卒よろしくお願い申し上げます。

IADR に加盟する全てのDivisionならびにSectionは,地理的ロケーションに従い,① Africa /Middle East Region (AMER), ② Asia/Pacific Region (APR), ③ Pan European Region(PER), ④ Latin American Region(LAR), ⑤ North American Region(NAR)のいずれかに所属し,各 Region内,Region間の協働で学術研究の活性化を図る取り組みが行われています。JADRは,Australian/New Zealand Division, Chinese Division, Indian Division, Korean Division, Mongolian Section, Pakistani Section, Southeast Asian DivisionとともにAPRを構成しておりますが,現在その総会員数は3,600名を超え,5つのRegionの中で最大となっております。APRでは3年ごとに開催されるIADR APR大会に加え,IADR APR Young Researcher Symposium(2021年1月21日), および,IADR APR-PER Leadership in Dental Research Forum (2022 年 5 月 20 日)等のオンライン形式のミーティングを開催してきております。JADR としましては,引き続きこのような APR 活動にも積極的に参画していきたいと考えております。

疫病,戦争,気候変動など,地球規模の災禍が次々と襲いくる困難な時代を迎えています。歯学が人々の健康増進と幸福度向上を目指す学問であるとすれば,このような複雑かつ不確実な世の中にあってこそ,その真価が問われるのではないかと思います。浅学非才の身ではありますが,JADR の発展に微力ながら尽くして参りたいと思いますので,2 年間どうぞよろしくお願い申し上げます。


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